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生活の解像度が上がるほど、関係の輪郭は繊細になる――短編集第三弾の核心
本作は≪刑事に×××シリーズ≫の短編集第三弾です。組織犯罪対策課の刑事・三宅大輔と、元・大滝組のインテリヤクザ・田辺恂二。プロポーズを機に『半同棲』から『同棲』へと生活の形が移り、大型家具店で買い物を楽しむような、なにげない喜びに満ちたプライベートが描かれます。
収録されるのは三編。学生時代の仲間との忘年会で酔い潰れた大輔を田辺が迎えに行く「よいどれカレシ・大輔の場合」、温泉旅行で珍しく先に酔ってしまった田辺が大輔に介抱される「よいどれカレシ・田辺の場合」、そしてクリスマスのプレゼント選びに、ふたりの事情を知る生活安全課の河喜田がある物を勧める「Living together」です。
注目したいのは、酔い方が逆転する二編の対構造です。普段はどちらかというと介抱する側に立つ田辺が、温泉旅行では先に酔い、大輔から世話を焼かれる。守る側と守られる側の位置が入れ替わることで、普段は見えにくい依存のバランスが、ふとした瞬間に可視化される。短編という形式が、その一瞬の露呈を切り取るのに向いているのだと思います。
Q. 今回の短編集は、シリーズを読んでいなくても楽しめますか?
A. あらすじを見る限り、大輔と田辺の関係性の前提(プロポーズを機に半同棲から同棲へ移行したこと、田辺が元・大滝組のインテリヤクザであること)は説明なしに置かれているため、シリーズの流れを知っているほうが関係の変化をより深く味わえる構成です。ただし収録されている三編はいずれも日常の一場面を切り取った短編であり、大型家具店での買い物、忘年会、温泉旅行、クリスマスのプレゼント選びといった、生活の具体 scene が中心となっています。
Q. 「よいどれカレシ」二編は、どのような対比で描かれていますか?
A. 「大輔の場合」では、忘年会で酔い潰れた大輔を田辺が迎えに呼び出されます。「田辺の場合」では、温泉旅行で珍しく先に酔ってしまった田辺が、いつもと逆に大輔から介抱される始末です。同じ「酔い」という題材を使いながら、介抱する側とされる側が入れ替わる対の構造になっています。普段の関係性では見えにくい、甘えたり甘えられたりする双方向性が、酔いという状況を通して浮かび上がる点が特徴的です。
Q. 河喜田という人物は、本作でどのような役割を担っていますか?
A. 河喜田は生活安全課に所属し、大輔と田辺のふたりの事情を知る人物として登場します。クリスマスのプレゼントを何にするか悩む大輔に対して、河喜田がおすすめした「ある物」が「Living together」という一編の軸になります。あらすじからは具体的に何を勧めたのかは明かされていませんが、ふたりの関係性を外側から知る第三者が提案するという構図そのものが、この短編の展開に影響を与える要素になっています。





