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家事を担う高校三年生と、年上の幼馴染が織りなす切なく甘い時間
本作は、高校三年生の碧を中心に描かれる年の差幼馴染のBL小説です。碧は幼いころに母を亡くして以来、家族のために家事全般を引き受けています。学校帰りに遊びに誘われても、なかなか余裕を持てない毎日。そんな忙しい日々の中でも、優しい父、頼りになる兄、元気な双子の弟たちに囲まれて楽しく過ごしています。
そして碧がなによりも幸せを感じるのは、年上の幼馴染である征爾に会える瞬間です。家族という日常と、征爾という存在。その二つが碧の中でどう位置づけられているのか、あらすじの時点で静かな緊張感が漂っています。小説花丸Vol.1掲載作を加筆修正した完全版で、書き下ろし短編「ある日のこと」「いつもの朝」も収録されています。
家族を担う碧の日常と、その中に差し込む征爾の存在
碧の生活は、母を亡くしたあとから家事全般を引き受けるという、年齢に対して背負うものが大きいものです。遊びに誘われても余裕が持てない、という記述からは、同世代の高校生が当たり前に享受する時間を、碧が手放していることがうかがえます。
それでも父、兄、双子の弟たちに囲まれた暮らしを「楽しく過ごしていた」とあらすじが添えている点は見逃せません。家族を負担としてだけ描かない。その均衡の上に、征爾に会える瞬間の幸福が置かれている。日常と非日常ではなく、日常の中の一点として征爾がいる構成です。
年上の幼馴染・征爾という存在がもたらす距離感
征爾は碧にとって年上の幼馴染であり、碧が「会える瞬間」をなによりの幸せと感じる相手です。幼馴染でありながら年が離れているという設定は、対等な幼馴染とも、出会って間もない年の差とも異なる、独特の時間の積み方を示しています。
碧が家の役割を引き受けて育ったのに対し、征爾がその時間をどう見てきたのか。あらすじでは征爾側の内面は明かされていませんが、だからこそ、長く積み重なった関係がどのように動き出すのか、読む前から気になります。





