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▶ 『夜の櫂のあいだは寝ている者を起こさないという蔵の言い方を教えられた私が醤油蔵の諸味の匂いの中で蔵人に毎晩奥に種付けされ朝ごとに増える小瓶で夜を知った話』の試し読み・お得なセール状況をチェック!
醤油蔵の夜をめぐる、静かな執着と溺愛の物語
本作は、山あいの醤油蔵を舞台にしたTL小説です。ヒロイン・末次みなもは24歳の下働きで、諸味蔵のとなりの休み間に寝起きしています。夜の櫂入れを受け持つ蔵人・月岡彌一は38歳。桶の進み具合を匂いと櫂の重さだけで決める職人であり、夜ごとの諸味を小瓶に取り置いて日付の紙を貼る役でもあります。
この作品を他と分けるのは、「夜の櫂のあいだは寝ている者を起こさない」という蔵の古い言い方が物語の軸になっている点です。紙も署名もない、ただ昔からそう言うのだと教えられただけの決まり。みなもはその言い方を自分から確かめに行かないまま、蔵での日々を過ごします。
小瓶が示す「選べる人」という関係の構図
物語の鍵になるのが、利き猪口の棚に一本ずつ増えていく小瓶です。夜ごとの諸味を取り置き、日付の紙を貼るのは月岡の役。朝に棚を見ると、瓶が増えている朝と増えていない朝がある——つまり月岡は、手を出さない夜を選べる人だと、みなもは気づきます。
この「選べる人」という認識が、みなもの気持ちを動かす分岐点として描かれています。選べる人だと分かってから、みなもは休み間の布団を蔵の戸口から遠ざけません。櫂が桶の底に当たる一拍と自分の息の間が合ってしまう晩があり、その一拍だけ声が外へ出て、櫂が止まる。孕んだと分かった朝、棚にはまた一本増えている——という流れが、あらすじで示されています。
歳の差と職人の関係性が生む、夜の緊張感
38歳の蔵人と24歳の下働きという歳の差、そして職場の古い言い方を前提にした関係性が、本作の緊張感を形づくっています。月岡は匂いと櫂の重さだけで桶の進み具合を決める職人であり、みなもは麹の返しと袋詰めを受け持つ下働き。仕事の場と寝床が隣り合っているからこそ、夜の時間が二人だけのものとして浮かび上がります。
- ヒロイン一人称視点で進む、約2.0〜2.2万字・全10章の構成
- 睡眠中の行為を題材にしつつ、蔵の古い言い方と小瓶という静かな手がかりで関係を描く
- 歳の差、執着、溺愛、職人といった要素が組み合わさったTL小説
なお、本作はR18の成人向け作品です。登場人物はいずれも二十歳以上の成人で、未成年は登場しません。作中の醸造・櫂入れ作業の描写は創作であり、現実の無断の行為や迷惑行為を肯定するものではないと明記されています。
こんな読者に届けたい一冊
静かな夜の緊張感と、言葉にされない関係の変化をゆっくり味わいたい方に向いています。派手な事件よりも、小瓶が一本増えるかどうかといった小さな手がかりで二人の距離を読むタイプの物語を好む方に合うでしょう。歳の差のある職人と下働きという立場の組み合わせ、そして朝ごとに増える小瓶が示す夜の記録——その静けさごと物語に浸りたいときに手に取ってみてください。
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