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📝 DLsite TL小説
▶ 『上流の脱線で唯一の踏切が五日塞がれた曲物の蒸し場で、十六歳上の曲物師に板を締める所作のまま腰を掴まれ奥に出されて孕んだ和菓子屋の蒸し方の話』の試し読み・お得なセール状況をチェック!
「板を締める所作のまま」――職人の手つきと恋が地続きになる
本作は、和菓子屋で蒸し菓子の蒸しを任された27歳の女性職人・藪内鞠と、十六歳上の曲物師・生田目惣平の五日間を描くTL小説です。舞台となるのは、三代続く曲物の蒸し場。上流で貨物が脱線し、渡れる唯一の踏切が五日間塞がれてしまうという、偶然が二人を同じ場所に留める状況から物語が動きます。
鞠は任されて五年、蒸籠の輪が割れたら自分で蒸し場へ頼みに行く女性。惣平は、出て行くための回り道は先に教え、残るかどうかの選択は相手に預ける曲物師です。「橋を一つ下まで回れば出られる。回るなら今だ」と告げられても、鞠は釜の火を落とせないという理由から蒸し場に残ることを選びます。この、逃げ道を用意されたうえで自分の意志で残る構図が、本作の関係性の核になっています。
蒸し上げた輪は乾くまで締め木を外せない――仕事の手順がそのまま二人の時間になる
本作の特徴は、職人の仕事の工程がそのまま二人の距離の縮まり方と重なっていく点にあります。蒸した板は冷えれば元へ戻ってしまい、蒸し上げた輪は乾くまで締め木を外せず、夜のあいだも誰かが蒸し場にいなければならない。だから鞠は帰れない。この「物理的に離れられない」状況が、五日間という時間の重みを支えています。
さらに、曲げは「送って、押さえて、戻ろうとする力を手で受け続ける仕事」と説明されます。あらすじでは、惣平の手つきを覚えるうちに、その送りと押さえと受けが鞠の腰の動きへ移っていく様子が描かれます。仕事の所作と身体の記憶が同じ言葉で語られる構成は、職人ものを読む楽しみの一つと言えるでしょう。
この一文に、本作の主題が凝縮されています。戻ろうとする力を受け続けるという行為は、そのまま関係を手放さずに受け止める姿勢にも読めます。あらすじ全体が、仕事の描写と親密さの描写を同じ温度で並べているのが印象的です。
十六歳差と立場の違いが効く、大人のためのTL
鞠は27歳、惣平は43歳。十六歳上の曲物師と、蒸しを任された女性職人という関係には、年齢差と職能の違いが重なっています。惣平は「輪を渡す相手も床をともにする相手も、成人した者に限る」という人物として整理されており、相手の選択を尊重する姿勢が設定として明示されています。判断を押しつけず、逃げ道を先に示すからこそ、鞠が自分で残ることを選ぶ流れに説得力が生まれます。
五日のあいだに鞠は何度もその時を迎え、奥に出されて孕む展開へと続きます。踏切が開いた朝、鞠は仕上がった蒸籠を背負って線路を渡り、惣平は回り道をもう一度教えようとはしない――という結びまで、あらすじで示されています。日常の仕事に戻っていく静かな幕切れまで含めて、職人同士の大人の関係を読みたい方に向いた一冊です。全54ページ、R18作品として成年向けに公開されています。
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