📝 DLsite TL小説
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屋号でしか呼ばれない場所で、四年ぶんの沈黙が動き出す
本作は、夜だけ火を入れる鋳込み場を舞台にしたTL小説です。ヒロインの塚越すずね(27歳)はそこで四年間、砂場仕事に携わってきました。この場所には屋号でしか人を呼ばない決まりがあり、すずねは四年間、名前のほうで呼ばれたことがありません。そんな折、彼女の身体は決まった刻になると必ず落ちる――という前提から物語は動き出します。
落ちたあとのことを知らないままでいたくない。そう考えたすずねは、眠っているあいだのことは全部鋳物に残してくださいと、鋳物師の津久井一之(36歳)に告げます。紙の同意書はなく、言ったのはすずね、聞いたのは彼だけ。この口頭の一言が、夜ごとの試し鋳に小さな銘が入るようになるきっかけです。
銘は一晩にひとつ。棚が語る「前の晩」
銘は一晩にひとつ。棚を見れば、前の晩に何があったかが控えられているという仕組みです。ただし銘は嘘をつきます。砂型を作り直した晩には入れない。深く眠ったはずなのに銘の入っていない夜も一つあった。ここに、津久井という人物の輪郭が浮かび上がります。彼は手を出さない夜を選べる人だったのです。
この「入っていない一つ」に気づいたすずねは、確かめたことを胸に収めず、その場で彼に言って返事をもらうようになります。気づいたことをため込まない彼女の性格が、関係を少しずつ動かしていく構図です。そして、わたしの名前を銘に入れてくださいと頼んだ夜、初めて名前のほうで呼ばれる――屋号の決まりに縛られていた四年間が、ここで静かに崩れます。
すずねの一人称で進む、約2万字の夜の記録
本作はヒロイン一人称視点の官能小説で、本文は約2.0〜2.2万字、全10章の構成です。語り手がすずねである以上、眠っているあいだの出来事は彼女の視界の外にあり、それを埋めるように残されるのが鋳物の銘という設定。読者はすずねと一緒に棚を確かめ、前の晩の痕跡をたどることになります。屋号と名前、眠りと銘、残すものと残らないもの。そうした対比が物語の軸として置かれています。
体格差のある二人の関係、そして四年間の距離が少しずつ縮まっていく過程を、静かな熱量で追いたい人に向いています。なお本作はR18の成人向け作品で、登場人物はいずれも二十歳以上の成人です。作中の鋳造・鋳込み作業の描写はすべて創作であり、物語は本人が口頭で告げた一言を前提としたフィクションであることが明記されています。
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