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魔力補給という名の、十年分の片想い
本作は、ブラック企業で過労死した主人公が異世界の村娘エリナとして生まれ変わり、聖女の力に目覚めるところから始まります。しかしその力は強大な代償を伴い、使うたびに魔力が枯渇し、身体は甘く熱を帯びて暴走してしまうという危険なもの。その解決策が「強い魔力を持つ者と深く身体を重ねること」だという設定が、もう絶妙すぎます。
パートナーに選ばれたのは幼馴染の騎士団長レオンハルト。冷静で禁欲的な彼との夜は、あくまで「義務」だと自分に言い聞かせるエリナ。けれど彼の触れる指も囁く声も、義務と呼ぶにはあまりに甘く、読んでいるこちらまで体温が上がりそうになる描写が続きます。異世界転生×聖女×幼馴染×魔力補給、この組み合わせを待っていた方も多いのではないでしょうか。
鈍感ヒロインと一途すぎる騎士団長
エリナは穏やかで心優しく、困っている人を放っておけない性格。自分のことを後回しにして頑張りすぎてしまうところが、前世のブラック企業時代から変わっていないのが微笑ましいです。彼女はレオンハルトに抱かれることも「聖女の力を保つため」と思い込んでいて、彼が十年間も自分だけを想い続けていたことにはまったく気づいていません。
一方のレオンハルトは公爵令息でありながら若くして騎士団長になった実力者。冷静で無口、禁欲的で近寄りがたい人物として知られていますが、エリナにだけは過保護で距離が近いというギャップがたまりません。十年前にエリナに命を救われた日から、残りの人生をかけて彼女を守ると決めていた彼。魔力補給という「義務」を口実に想いを押し殺しながらも、別の男がエリナに近づくと嫉妬と独占欲があふれ出す姿は、まさに執着溺愛の王道です。
「義務」の裏に隠された本心に気づく瞬間
この一文は、前世でブラック企業に勤めていたエリナの願いそのもの。異世界に生まれ変わった彼女が村の薬師見習いとして穏やかに暮らしていた日常が、聖女としての覚醒によって一変してしまいます。しかしその「穏やかで幸せな人生」の鍵を握るのが、幼馴染のレオンハルトだという点が物語の運命を感じさせます。
彼女が望んだ穏やかな幸せと、彼が彼女に与えたい幸せが、果たして同じものなのか。エリナが「彼の婚約者」という誤解から身を引こうとしたとき、レオンハルトの十年分の想いと独占欲が溢れ出すという展開は、両片想いのすれ違いが一気に解消される瞬間への期待を高めてくれます。義務から始まった関係が、本当の愛に変わっていく過程が丁寧に描かれているからこそ、この一文が心に刺さるのでしょう。
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