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傷ついた心に現れる、白い衣の女性――その正体は
本作は、信じていたものを一度に失った主人公のもとに、白い衣を纏った不思議な女性・白蓮が現れるところから始まる物語です。恋人に研究成果を奪われ、友人にも裏切られ、大学を休学して祖母の遺した山奥の工房でひとり暮らす主人公。そんな彼女のもとへ、祖母の知り合いだと名乗って白蓮は穏やかに訪れます。過去を詮索せず、不格好な器にも優しく目を細める白蓮に、冷えきっていた心が少しずつほどけていく――という流れが、本作の軸となっています。
作品を他と分ける特徴は、この関係性が「癒し」だけで終わらない点です。白蓮の正体は蛇神であり、幼い頃に主人公を救った「白く長い何か」と重なっていく。優しく包み込む存在でありながら、人ならざる気配を漂わせる彼女との距離が、物語の核心になっています。
「見守る」から「呑み込む」へ――関係性の変化を追うトラック構成
全8トラック+フリートークで構成され、序盤は静かな交流が中心です。01では器の梱包中に白蓮が訪れ、祖母の作品を大切そうに手に取る姿が描かれます。02では縁側で四季や祖母の思い出を語り合い、手首に止まった蚊をきっかけにキスが落とされる。03では主人公が自分の焼いた器を見せ、白蓮が作品の優しさと可能性を語る流れになっています。主人公が少しずつ心を開いていく過程が、丁寧に積み上げられる構成です。
物語が動くのは04以降です。裏切った元恋人たちからの連絡が届き、主人公は怯えながら事情を白蓮に打ち明ける。そこで白蓮が語る「この山に棲む蛇神様は裏切り者を嫌う」という言葉が、05で現実となります。訪ねてくるはずだった二人の死を知り、安堵してしまった自分を責める主人公に、白蓮は自らの仕業だと告げる。罪悪感ごと抱き締める彼女の白い鱗を見た瞬間、幼い日の記憶と重なる――という展開が用意されています。
白蓮の想いと代償、そして二つの結末
06では、雨を避けて部屋の奥へ移り、白蓮が人ならぬ姿をさらけ出して主人公を求める流れになります。体を重ねる中で彼女が告白するのは、人を殺めたことの代償。主人公の白蓮への想いは強くなり、彼女と町へ出て四季を過ごす願いを抱くようにもなっていきます。
結末は二つ用意されています。07は白蓮とともにこの地で生きていく未来を描くグッドエンド、08は白蓮への愛が信仰へと変わり、すべてを捧げていく狂愛エンドです。同じ関係性から分岐する二つの行き先を、どちらも聴ける構成になっています。
白蓮を演じるのは高梨はなみ様。KU100収録で聴く、穏やかさの奥の気配
白蓮を演じるのは高梨はなみ様です。外見年齢30代前半、白銀の長髪に翡翠の瞳を持つ美しい女性で、穏やかで包み込むような物腰の奥に、どこか人ならざる気配を漂わせている――というキャラクター像が公開されています。聴きどころとしては、この「穏やかさ」と「人ならざる気配」の落差が、声でどう表現されるのかという点が挙げられます。02〜03の静かな交流、05での告白、06での想いの吐露と、場面ごとに温度が変わっていくため、声の変化を追うのも楽しみ方の一つです。
収録はダミーヘッドマイク(KU100)を使用し、スタジオで行われています。ヘッドフォンでの視聴が推奨されており、SEありのトラックにはSEなしバージョンも同梱されています。おまけとして高梨はなみ様によるフリートーク(11:37)も収録されています。
こんな人におすすめ
傷ついた心を肯定してくれる存在に惹かれたい方、相手の正体に揺れながら関係を深めていく物語を求める方に向いています。甘やかされるだけでは終わらず、相手の抱える代償や執着にも触れたい方、結末が分岐する構成を楽しみたい方にも合うでしょう。百合の関係性を軸に、和風の神話性と静かな山奥の空気感を味わいたい作品です。
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