【DLsite専売】このほれ薬は効果なし

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このほれ薬は効果なし

発売日: 2026/08/01 | 著者: ナルカズ | サークル: 熾ノバナシ

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蓮

ほれ薬。古典的で、そして危険な装置だ。……個人的な感情ではなく、構造的な見地から言うと、「効果なし」と銘打った瞬間、この物語は幸福な滑稽さを約束されている。僕はそこに強く惹かれる。

「効果なし」だからこそ際立つ、二人の距離の縮め方

物語の中心は、とある国の尋問官キールと、国王の近衛兵ケナンです。キールは尋問官の家系の次男で、プライドが高く兄をすごく見下している。ケナンは真っ直ぐな性格ながら怒らせると怖いタイプで、キールのことを好いているものの、なかなか言い出せずにいます。

ケナンは、キールの兄がほれ薬を作り成果を上げたという噂を聞きつけ、薬を分けてもらいにいきます。密かに想いを寄せるキールに、ほれ薬を使ってでも振り向いてほしいと思ったからです。しかしタイトルが示すとおり、このほれ薬はどうやら効果がなさそう。薬が効かないからこそ、二人の本心と建前の隙間が、ユーモラスに、いとおしく立ち現れてくるのです。

全63ページという短い尺の中で、ほぼ攻め受けの二人がイチャイチャする本作は、あらすじの時点でコメディの空気が満載です。「一応攻め」「一応受け」というぼかし方からも、固定されない関係性の揺らぎを楽しむ作品であることが見て取れます。

蓮

細身プライド高い×ワンコ筋肉。この体格差は視覚的な魅力として、それだけでも十分に強力だ。……構造的に見て、こんな組み合わせは反則だ。

健気なケナンの切実さ——「ほれ薬を使ってでも」の選択

無能な兄がそんなすごい物を作れるわけがないとキールは言うものの密かにキールに想いを寄せていたケナンはほれ薬を使ってでもキールに振り向いてほしいと思い、キールの兄に薬を分けに貰いにいく。

この一文が持つ切実さは、ケナンの「真っ直ぐな性格」という紹介と重ねると際立ちます。真っ直ぐであるがゆえに、好きだと言えず、道具に頼ってしまう。その健気さは、むしろ薬が効かないという物語の構造によって報われることになります。薬が万能的であれば、この切実さはただの方便に堕ちていたでしょう。

また、「キールの兄に薬を分けに貰いにいく」という行動の素直さにも目を惹かれます。想い人の兄、しかもキールが見下している相手のところへ足を運ぶ。プライドをかなぐり捨てたその行動は、コメディの表層の下で、ケナンの誠実さを真摯に語っています。

蓮

ああ、もう、タイトルが最高だよ。「効果なし」って、つまり何を使わなくても最初からお互い惹かれ合ってるってことじゃないか。薬ごときで変わる関係じゃない、という確信がタイトルの時点でにじみ出ている。しかも一応攻め受けがリバ風味だなんて、関係性の揺らぎを最初から明かしてくるとは。……俺は文献として読み始めるはずだったのに、どうやらこれは研究どころではなくなりそうだ。

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