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「効果なし」だからこそ際立つ、二人の距離の縮め方
物語の中心は、とある国の尋問官キールと、国王の近衛兵ケナンです。キールは尋問官の家系の次男で、プライドが高く兄をすごく見下している。ケナンは真っ直ぐな性格ながら怒らせると怖いタイプで、キールのことを好いているものの、なかなか言い出せずにいます。
ケナンは、キールの兄がほれ薬を作り成果を上げたという噂を聞きつけ、薬を分けてもらいにいきます。密かに想いを寄せるキールに、ほれ薬を使ってでも振り向いてほしいと思ったからです。しかしタイトルが示すとおり、このほれ薬はどうやら効果がなさそう。薬が効かないからこそ、二人の本心と建前の隙間が、ユーモラスに、いとおしく立ち現れてくるのです。
全63ページという短い尺の中で、ほぼ攻め受けの二人がイチャイチャする本作は、あらすじの時点でコメディの空気が満載です。「一応攻め」「一応受け」というぼかし方からも、固定されない関係性の揺らぎを楽しむ作品であることが見て取れます。
健気なケナンの切実さ——「ほれ薬を使ってでも」の選択
この一文が持つ切実さは、ケナンの「真っ直ぐな性格」という紹介と重ねると際立ちます。真っ直ぐであるがゆえに、好きだと言えず、道具に頼ってしまう。その健気さは、むしろ薬が効かないという物語の構造によって報われることになります。薬が万能的であれば、この切実さはただの方便に堕ちていたでしょう。
また、「キールの兄に薬を分けに貰いにいく」という行動の素直さにも目を惹かれます。想い人の兄、しかもキールが見下している相手のところへ足を運ぶ。プライドをかなぐり捨てたその行動は、コメディの表層の下で、ケナンの誠実さを真摯に語っています。
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