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▶ 『解体前の木造船の図面を採りに三ヶ月通った島で、三十二歳上の船大工に『図面が終われば会う理由がない』と欠航の夜に脚を開かされ明け方まで種付けをされた話』の試し読み・お得なセール状況をチェック!
潮風と鉛筆の音だけがあった三ヶ月。最後の夜に、枷が外れる
島に一隻だけ残った木造漁船。その図面を起こすため、二十四歳の設計係・八重樫なぎは三ヶ月間、週に二度フェリーで島へ通い続けました。相手は三十二歳上の船大工・十河壮一。二十八歳のときに一人でその船を仕上げた人物です。図面は一枚も残っておらず、壮一の記憶と船体そのものだけが原図。なぎは曲がりの寸法を採り、壮一の言葉を書き取っていきます。
壮一は船のことしか喋らない。それでも、なぎの帰りの便には必ず間に合うように手を止める人でした。仕事と私事の線引きが徹底された三ヶ月。触れる理由も、私的な言葉も、一度として無かった。この距離感がもう、たまらないんです。船のことしか語らない男が、帰りの便の時間だけはしっかり意識しているっていう、この不器用さ……!
そして図面はあと数枚で終わる。船は来月に解体される。仕事が終われば島へ渡る理由は消えてしまう。そんなタイミングで台風によってフェリーが欠航。島から出られない一夜が訪れます。船小屋の灯りの下で、壮一は「図面が終われば、会う理由がない」と言うのです。この一言に込められた意味を考えるだけで、心臓がうるさい。
口数の少ない三十二歳上の男と、彼の言葉を書き取ってきた二十四歳の設計係
八重樫なぎは、本土の造船会社に勤める入社三年目の設計係。仕事として島に通ううちに、壮一の存在が特別なものになっていく。しかし、あくまで仕事の間柄だけ。私的な行き来は一切ありません。この線引きの綺麗さが、逆に切ない。図面を採るために触れる指先も、すべて仕事の範囲内として処理されてきたはずなのです。
十河壮一は、島に一人だけ残った木造船の船大工。妻を三年前に亡くしています。船のことしか喋らない男が、最終盤になって「会う理由がない」と口にする。これはもう、言い訳じみた本音でしかないと思うんです。三十二歳上の、口数の少ない男が、一つずつ確かめるように手を進める。その慎重さが、背徳感をさらに煽ってきます。
「会う理由がない」――この言葉が呪いであり、最後の告白である
図面が終われば会う理由がない。これは仕事が終わることを指す言葉であると同時に、三ヶ月間ずっと「会う理由」を探していたことを暗に示しています。壮一は船のことしか喋らない人。そんな人が、最後の夜にこの一言を選んだという事実が重い。もう仕事としての言い訳ができないからこそ、別れの言葉として口にしたのか。それとも、逃げ場を塞いだ上での口実なのか。どちらに転んでも、その後の展開はもう分かりきっている。欠航の夜に、船小屋の灯りの下で。
台風と海が、逃げ場を塞ぐ。島という閉鎖空間の背徳感
フェリーが欠航し、島から出られない一夜。逃げ場を塞いでいるのは、人間ではなく海そのものです。物理的に逃げられない状況で、壮一はなぎに「脚を開かされ」ることになる。この「逃げられない」という状況設定が、背徳ものの醍醐味を最大限に引き立てています。三ヶ月間の仕事の関係性が、一夜でがらりと変わる。図面の完成と船の解体が同じ月に決まっていることで、この一夜が「終わりの始まり」としての緊張感を放っているのです。
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